充電器やモバイルバッテリーの商品ページには「PD対応」「30W」「65W」といった表記が並んでいます。数字が大きいほど良さそうに見えますが、自分の機器に合っていなければ、その性能は使い切れません。
この記事では、USB PDの仕組みとW数の見方を整理し、スマホ・タブレット・ノートPCのそれぞれで何Wを選べばよいかをまとめます。
この記事の結論
- スマホは20〜30W、タブレットは30〜45W、ノートPCは65W前後が目安
- 機器より大きいW数の充電器を使っても問題ない(機器が必要な分だけ受け取る)
- 60Wを超える充電には「5A」「100W対応」のケーブルが必要
- 複数ポートを同時に使うと、出力は分配される
USB PDとは
USB PD(USB Power Delivery)は、USB Type-C端子を使って大きな電力を送るための規格です。USBの規格を定める団体であるUSB-IFが策定しています。
従来のUSB充電は5Vで数W〜十数W程度でしたが、USB PDでは電圧を上げることで、より大きな電力を送れるようになりました。スマホの急速充電だけでなく、ノートPCの充電にも使われています。
充電器と機器が「相談」して電力を決める
USB PDの特徴は、充電器と機器がケーブルを通じて通信し、安全に送れる電圧と電流を決めてから充電を始める点です。
そのため、65Wの充電器にスマホをつないでも、スマホが受け取れる分しか流れません。機器より大きいW数の充電器を使っても問題はなく、壊れることもありません。逆に、機器が求めるW数より小さい充電器を使うと、充電が遅くなります。
W(ワット)の見方
Wは電力の大きさを表す単位で、次の式で決まります。
W(電力)= V(電圧)× A(電流)
USB PDでは、主に次の電圧が使われます。製品の仕様欄にある「9V=3A」のような表記は、この組み合わせを示しています。
| 電圧 | 電流 | 電力 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 5V | 3A | 15W | イヤホン、小型機器 |
| 9V | 3A | 27W | スマホの急速充電 |
| 15V | 3A | 45W | タブレット、小型ノートPC |
| 20V | 3.25A | 65W | ノートPC |
| 20V | 5A | 100W | 高性能ノートPC |
新しい規格のUSB PD 3.1では、さらに高い電圧(28V・36V・48V)が追加され、最大240Wまで対応できるようになりました。ただし、これは一部の高性能ノートPCなど向けで、スマホやタブレットには関係しません。
機器別|必要なW数の目安
必要なW数は機器によって異なります。おおよその目安は次のとおりです。
| 機器 | 目安 | 補足 |
|---|---|---|
| スマートフォン | 20〜30W | 機種によっては45W前後に対応 |
| タブレット | 30〜45W | 大型のものほど大きい出力が有利 |
| 薄型ノートPC | 45〜65W | 付属の充電器のW数が基準 |
| 高性能ノートPC | 65〜100W以上 | 不足すると充電しながらの作業で減ることがある |
正確な値は、機器のメーカーが公開している仕様や、付属の充電器に書かれたW数で確認できます。ノートPCは、付属の充電器と同じかそれ以上のW数を選ぶのが基本です。
迷った場合は、持っている機器の中で最も大きいW数に合わせます。スマホとノートPCの両方を充電するなら、ノートPC側に合わせて65W前後を選んでおけば、スマホにも問題なく使えます。
PPSとは|一部のスマホで充電が速くなる機能
PPS(Programmable Power Supply)は、USB PDの追加機能です。通常のUSB PDが5V・9V・15V・20Vといった決まった電圧から選ぶのに対し、PPSは電圧を細かく調整できます。
電圧を機器に合わせて細かく変えられるため、充電中の発熱を抑えやすくなります。Galaxyなど一部のAndroidスマホは、PPS対応の充電器を使ったときに最も速い充電モードになります。
PPSに対応したスマホを使っている場合は、充電器やモバイルバッテリーの仕様欄に「PPS対応」と書かれているかを確認しましょう。
見落としやすい3つの注意点
1.ケーブルにも上限がある
充電器が100Wに対応していても、ケーブルが対応していなければその電力は流れません。USB Type-Cケーブルには、流せる電流によって種類があります。
- 一般的なケーブル(3A):最大60Wまで
- 5A対応ケーブル:最大100Wまで
- USB PD 3.1(EPR)対応ケーブル:最大240Wまで
60Wを超える充電をしたい場合は、「100W対応」「5A対応」などと明記されたケーブルを選んでください。スマホの充電だけであれば、一般的なケーブルで足ります。
2.複数ポートを同時に使うと出力が分かれる
ポートが複数ある充電器やモバイルバッテリーは、同時に使うと出力が分配されます。「最大65W」と書かれていても、2台同時に充電すると「45W+20W」のように分かれる製品が一般的です。
ノートPCとスマホを同時に充電するつもりなら、「単ポート時」ではなく「複数ポート使用時」の出力を仕様欄で確認しておきましょう。
3.モバイルバッテリーは「入力」のW数も見る
モバイルバッテリーには、機器へ送る「出力」と、本体を充電する「入力」の2つのW数があります。入力のW数が大きいほど、モバイルバッテリー本体の充電が早く終わります。
20,000mAhクラスの大容量モデルは、入力が小さいと満充電までに長い時間がかかります。大容量を選ぶときほど、入力のW数を確認する価値があります。
モバイルバッテリーを選ぶときの当てはめ方
ここまでの内容を、モバイルバッテリー選びに当てはめると次のようになります。
- スマホだけを充電する:出力20〜30Wで十分
- タブレットも充電する:出力30〜45W
- ノートPCも充電する:出力65W前後、容量は20,000mAhクラス
具体的な製品はモバイルバッテリーおすすめ3選で、30W・35W・45W・65Wのモデルを比較しています。容量の選び方はモバイルバッテリーは何回充電できる?も参考にしてください。
よくある質問
W数が大きい充電器を使うと、スマホが壊れませんか?
壊れません。USB PDでは、充電器と機器が通信して、機器が受け取れる電力だけを送ります。65Wの充電器にスマホをつないでも、流れるのはスマホが対応する分だけです。
USB PD対応かどうかは、どこで分かりますか?
製品の仕様欄やパッケージに「USB PD」「Power Delivery」「PD対応」と記載されています。出力欄に「9V」「15V」「20V」といった5Vより高い電圧が書かれていることも目安になります。
USB Type-Cなら、すべてUSB PDに対応していますか?
対応しているとは限りません。USB Type-Cは端子の形状の名前で、USB PDは充電の規格です。Type-C端子でも、USB PDに対応していない製品やケーブルがあります。
iPhoneの急速充電には何Wが必要ですか?
Appleは、iPhone 12以降を高速充電するには20W以上の電源アダプタが必要としています。iPhone 17・iPhone 17 Pro・iPhone 17 Pro Maxは、40W以上のアダプタを使うと約20分で最大50%まで充電できるとしています(出典:Apple サポート「iPhoneを高速充電する」、2026年10月時点)。
まとめ
USB PDは、充電器と機器が通信して、安全に大きな電力を送るための規格です。W数は大きければよいわけではなく、持っている機器が必要とするW数に合わせて選ぶのが基本です。
スマホなら20〜30W、タブレットなら30〜45W、ノートPCなら65W前後が目安になります。あわせて、ケーブルの上限と、複数ポートを使ったときの出力の分かれ方も確認しておくと、買ってからの「思ったより遅い」を避けられます。
参考にした情報:USB-IF「USB Charger (USB Power Delivery)」(USB PD の最大電力。英語)、Apple サポート「iPhoneを高速充電する」。いずれも2026年10月に確認。
このジャンルで迷ったらこれ
Anker Nano Charger (45W) with USB-C & USB-C ケーブル
iPhone 17シリーズの高速充電(40W以上)に対応でき、タブレットや MacBook Air にも使えます。ケーブルが付属します。
ノートPC・スマホ・イヤホンを1台で充電するなら:エレコム ACDC-PD4465BK(65W・3ポート)
公式の仕様をもとにした編集部の判断です。紹介料の有無で変えていません。
この記事は役に立ちましたか?
この記事について最終更新日:2026年10月10日
- 作成:Gadget Lab 編集部
- 製品の仕様はメーカー公式サイト、制度は公的機関の発表で確認しています(編集方針)
- 最終更新日:2026年10月10日
- 誤りや古い情報にお気づきの場合は、お問い合わせからお知らせください